ガラスペンという美しい文房具をご存知でしょうか?
ガラスペンは、明治35(1902)年に日本で生み出されたつけペンの一つです。
風鈴を作っていたガラス職人によって考え出されたこのガラスペン。
実用性はもとより、その趣深いデザインは、見る人すべてを一瞬で虜にしてしまいます。
ガラスペンは、ガラスで作られた筆先の溝からインクを吸い上げる、毛細管現象という方法を利用して、文字を書いていく筆記用具です。
最近までは、ペン先だけがガラスで作られるのが普通でしたが、平成に入ってからは、ペンの先から軸の部分に至るまで、すべてガラスで作られるようになりました。
そう、まるで芸術品のような素晴らしいガラスペンの誕生です。
※出典 ガラス職人 管清風
ガラスペンの優秀さはその見た目だけにはとどまりません。
万年筆などのつけペンを使うとき、不便に感じるのが色の変更。
その点、ガラスペンならすぐに可能です。
さらに、一度インクをつければ、ハガキ一枚分ぐらいは注ぎ足しなしで書くことができるのも嬉しいですね。
この才色兼備のガラスペン、日本の職人が一本一本手作業で作り出します。
そして、この精緻な職人技を支えるのは、トーチバナーに他なりません。
プロパンガスの炎が、匠たちの繊細な感覚をより一層研ぎ澄まし、世界で一本しかない芸術作品を生み出しているのです。
メディアでの紹介も多く、日本国内だけでなく、世界中から注文が殺到するガラスペン。
納期は数か月から半年後と言われるほどです。
かつて、戦乱が続いた時代、日本が世界に誇ることのできる伝統工芸品は、日本刀でした。
そして、現代。
日本の職人がその卓越した技を惜しげもなく注ぎ込んで作り上げるのは、美しく人々を魅了するガラスペンです。
「ペンは剣よりも強し」
平和を祈り一本一本作られる儚くも強いガラスペンが、今や世界を席巻しようとしています。
そんなガラスペンを生み出すトーチバナーの炎は、今日も静かに、けれども、どこか誇らしげに燃え続けます。